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zoom RSS 「考えるな」に誘発されて

<<   作成日時 : 2018/12/24 19:54   >>

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電車を降りたら小雨がパラついていた。「100円ショップでビニール傘を買おう」。そう決心した。

折り畳み傘を持ち歩かない自分が悪いのだし、プラスチックごみが世界的な問題となり、安価な商品の背景には安価な労働力の問題も横たわっていることを考えれば、取り得る選択肢は(1)しっかりとした傘を買う(2)喫茶店で雨宿りをする(3)タクシーに乗る。できれば環境にやさしく、ほんの少しでも経済を回せるように。だがその日はもうそんなことはどうでもよかった。

でたらめなやり方で出入国管理法が改正され、沖縄では辺野古沖への土砂投入が迫っていた。権力者のやりたい放題がまかり通る世の中で、世界や次世代のことを考えて行動するなんてバカらしい、やってらんない−−−レジ待ちの列に並ぶ。ふと、20年前の取材で聞いた言葉を思い出した。「あまり考えるな。考えると人生、ロクなことがない」

仕事が長続きしないとかモテないとか、さまざまな「だめ」を抱えた若者たちが結成した「だめ連」。その代表格の男性が、母親の口癖だったと教えてくれた。社会のレールから外れない秘訣、それは考えないことだ、と。

政治や社会の問題を我が事として考えれば、おかしいといらだったり変えられない無力感にさいなまれたりする。「スイッチ」を切り、考えないことで体制に順応した方が楽。得。20年前には笑い飛ばせた「考えるな」はいまや、この国で生き抜くための大事なスキルとなっている。やるな、お母さん。だが「だめ」を武器に反転攻勢を仕掛ける彼らはやっぱり楽しそうだった。ユルユルとした調子で、その実、考え抜かれた角度から放たれる窮屈な社会へのカウンターパンチ。選ばされるな、自ら選べ、選択肢なんかいくらでもある、なけりゃ自分で作ればいいのだ−−−。

「次のお待ちの方どうぞ」
レジの順番がきた。「すぐ使います」と108円払う。まだ、雨は降っている。

「我々は絶対にあきらめない」。玉城デニー沖縄県知事は土砂投入のの翌日、こう訴えていた。強権政治が幅を利かせる世界のあちこちで、人々が「あきらめない」とつぶやいている。無力感の沼に引きずり込まれないように、自らを鼓舞しているのだろう。私も、その一人だ。ただ、「あきらめない」と自分に言い聞かせているうちに、身の内が固くなり、悲壮感が分泌され、ポキッと折れやすくなるのも確か。

ファイティングポーズは崩さずに、したたか、しなやかに、鼻歌を口ずさむような感じの闘い方を見つけたい。考え続ける。考えることは、生きることだ。

百均の傘は案外しっかりしていて驚いた。ただいかんせん小ぶりなので相合い傘はできそうもない。壊れるまで使い倒したら、今度はちゃんと吟味して、大ぶりの傘を買いたい。誰かに差し掛けてあげたくなるような、素敵な傘を。

2018.12.24(月)朝日新聞 朝刊

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