2019年04月11日 その日のまえに 『その日のまえに』重松清<目次> ・ひこうき雲 ・朝日のあたる家 ・潮騒 ・ヒア・カムズ・ザ・サン ・その日の前に・その日 ・その日のあとで・ひこうき雲 ただ、長く生きすぎてしまったひとの流す涙は、ガンリュウの----おとなになるまで生きられなかったひとの流す涙と同じだと思った。神さまに気まぐれに選ばれてしまったひとたちの涙が、僕の胸に染みていく。 岩本隆子(ガンリュウ) 山本美矢子(クラス委員) 勉(僕、ベン)・潮騒同級生のオカちゃんが溺死した。誘われて断った俊治が人殺しと言われ、石川に殴られた。時が過ぎ、余命宣告を受けた俊治が、昔過ごした街を訪ね、石川と再会し和解する。そして、寂れた街に活気を戻すために計画された花火大会・・・。 佐藤俊治・その日のあとで「終末医療にかかわって、いつも思うんです。『その日』を見つめて最後の日々を過ごすひとは、じつは幸せなのかもしれない、って。自分の生きてきた意味や、死んでいく意味について、ちゃんと考えることができますよね。あとにのこされるひとのほうも、そうじゃないですか?」山本美代子◇ ◇ ◇ ◇ ◇短編だと思っていたのが、どこかで繋がっている登場人物、重松ワールドの真骨頂でした。一昔前と比べれば、現代は医療の進歩のより、人の平均寿命は飛躍的に伸びました。しかし、それでも人は必ず間接的/直接的に死を経験します。間違いなく人生の終盤に差し掛かった今、死は身近で不変の真理です。では、何のために人は生まれて死ぬのでしょう。人の死をどのような形で取り込み、どのような形で自分を終わらせる日を迎えれば良いのでしょう。多分に哲学的で、深く、ゆっくり考えさせられる小説です。
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